色のない根っこ

創作と日記のようなもの

『恋する寄生虫』を読んで。

『恋する寄生虫』(著:三秋縋 さんの)を読み終わった。

今思うと、文字だからこそ読み終えることができたなと思う。もしもこれがマンガ、もしくは映像などであったら読み終えることは無かった。それはもう単純に「見る」ことができないからに尽きる。

私はあるTV番組を見てからもともといい印象の無かった寄生虫が更に苦手になり、私の中では寄生虫=「一般的な虫以上に嫌なもの。恐ろしいもの。」と言う恐怖の対称になっていた。けれど、この本を読んで佐薙が愛おしそうに寄生虫について語っているのを読んでいると、寄生虫にも色々あるのだなあとか彼らに対して少しは嫌悪感が薄らいだ気がする。(でも、やっぱり怖い上に見たくは無い。もしこれが映像だったなら佐薙の説明する途中でその寄生虫の写真か何かが出てきたのではないか...そう考えると小説で、文字で良かったなあと思う)

そして、人間が終宿主の新種の寄生虫。彼らと、ある人間は、持ちつ持たれつ生かされていて、そんな寄生虫に結ばれた高坂さんと佐薙の恋愛は虫のお陰ではないと結論付けられたけれど、でもやっぱり最終的には二人の恋は「寄生虫あってのもの」ではないかなあと思った。世の中どれだけ恋愛もののストーリーがあろうと虫に操られる恋愛なんてそうそう無いだろう。それでもこんな恋愛も素敵だなあと思うそんなお話しだった。